2016年02月26日

検証・都労委「明治乳業(市川工場)事件」(戸塚章介)。3)潮流間差別争議。「厚木自動車部品」「吉富製薬」「日本鋼管」「日本電気工業」「神奈川中央交通」「日本パルプ工業」「池貝鉄工」等、すべて申立人の請求を認めた救済命令だった。


検証・都労委「明治乳業事件」 戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


3)潮流間差別争議

 明乳事件はいわゆる「潮流間差別事件」である。大企業における賃金身分差別事件は少数派組合員に対する組合間差別として争われてきたが、1970年代後半に入ると会社に丸抱えされた労働組合の中でがんばっている少数派集団が立ち上がった。その典型が「東電人権闘争」と「石播差別争議」である。


 「潮流間差別事件」の双璧である@東電人権裁判とA石播賃金差別争議は同じ年、1976に提訴された。@は1都5県の裁判所、Aは東京都労働委員会がたたかいの舞台になった。東電原告団は共産党員および同調者に対する思想差別を前面に出し、石播提訴団は労働組合活動を理由とした差別を問題にした。

 1976年9月25日に申し立てられた石川島播磨重工事件(51年不101号)は、明乳事件申立の85年当時、労使双方の個別立証の真っ最中だった。担当公益委員は最初が塚本重頼都労委会長、塚本さんが最高裁判事になったので次がやはり会長の浅沼武さんで、都労委としても特別の事件扱いだった。

 実は都労委には石播事件の以前にも「潮流間差別事件」が申し立てられ命令も出ていた。@「北辰電機事件」(76年12月27日命令・一部救済)、A「三井製糖事件」(80年4月24日命令・一部救済)。Aは差別連のご意見番・篠崎力さんや、この前亡くなった渡辺博さんが申立人だった。

 まだ命令に至らず都労委で審問中の潮流間差別事件としては、80年7月12日申立の「雪印乳業事件」(55年不63号)、82年12月13日申立の「電力中研事件」(57年不115号)がある。

 明乳が申し立てた85年以降は「国民金融公庫」(86年)、「日立中研」(86年)、「山武ハネウェル」(87年)、「大日本印刷」(90年)、「日本ペイント」(90年)「エールフランス」(91年)、「凸版印刷」(92年)、「日立製作所」(92年)などが続々申し立てることになる。

 「潮流間差別事件」は全国の労働委員会、裁判所でもたたかわれた。命令が出たものだけでも「厚木自動車部品」(神奈川・78年)、「吉富製薬」(福岡・78年)、「日本鋼管」(神奈川・82年)、「日本電気工業」(大阪・83年)、「神奈川中央交通」(神奈川・84年)、「日本パルプ工業」(鳥取・88年)、「池貝鉄工」(神奈川・88年)、「千代田化工」(神奈川・92年)などがある。すべて「差別は不当労働行為」と認定され、申立人の請求を認めた救済命令だった。
posted by さとやん at 16:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする